LED を点滅させよう

発振回路の動作を理解しよう

ここで使う道具

発振回路

NPN接続のトランジスタ(2SC1815)とPNP接続のトランジスタ(2SA1015)を組み合わせた回路だよ

発振回路の動作

1. 電源をいれた直後

最初 2つのトランジスタは両方とも OFF で、コンデンサにも電荷がたまっていないから
100kΩ と 100Ω の抵抗にかかる電圧の和は、
3V - 1.7V(電流が小さいときの LED の順方向電圧) = 1.3V になるよ

100kΩ の抵抗にかかる電圧は、100k / (100k + 100) x 1.3 = 1.299V
100kΩ の抵抗を流れる電流は 1.299V / 100kΩ = 0.012mA = 13μA だね ベース・エミッタ間にかかる電圧は、3V - 100kΩ の抵抗にかかる電圧 なので
VBE = 3V - 1.299V = 1.701V
になるよ

ベース・エミッタ間にかかる電圧が順方向降下電圧より大きいので、 2SC1815 が ON になりベース電流が流れるよ 2SC1815 が ON になると、ベース・エミッタ間電圧 VBE は、ベース電流 IB と 100kΩ の抵抗に流れる電流が釣り合うような値になるよ
(VBE = 1.7V → IB が 0.013mA より大きい → 100kΩ の抵抗による電圧降下が 1.3V より大きくなる → VBE が 1.7V より小さくなる → ...) グラフから、ベース・エミッタ間電圧 VBE が 0.65V のとき、ベース電流 IB と 100kΩ の抵抗に流れる電流が同じになりそうだね

VBE = 0.65V のとき、100kΩ の抵抗にかかる電圧 = 3V - 0.65V = 2.35V だから、
100kΩ の抵抗に流れる電流 = 2.35V / 100kΩ = 0.0235mA だね

グラフのベース電流 IB も 23.5μA = 0.0235mA だね

2. 2SC1815 トランジスタが ON の状態

ベース・エミッタ間電圧 VBE が 0.65V なので
コレクタ電流として IC = hFE x IB = 200 x 0.0235mA = 4.7mA が流れるね 2SA1015 のベース電流 IB として 4.7mA ながれるから、2SA1015 も ON になってコレクタ電流がながれるよ

3. 2SA1015 が ON の状態

2SA1015 が ON になると、エミッタからコレクタに電流が流れるよ

コンデンサには LED のアノード側から 2SC1815 のベース側に向かって電流が流れ、じょじょに充電されるよ

コンデンサが充電されるにつれ、2SA1015 のエミッタ・コレクタ間電圧 VCE は 2.35V から下がっていくよ
ベース電流が 4.7mA と大きいので、エミッタ・コレクタ間電圧は エミッタ・コレクタ間飽和電圧(0.1V)まで下がることができ、コンデンサの両端の電圧は 0V から 2.25V (3V - 0.1V - 0.65V) に上がるよ コンデンサの両端の電圧があがるにつれて、LED と 100Ω の抵抗にかかる電圧の和が 0.65V から 2.9V にあがるよ
LED には順方向電圧 2.0V がかかり、100Ω には 2.9V - 2.0V = 0.9V がかかるよ LED に 2V がかかり、0.9V / 100Ω = 9mA の電流が流れるので光るね


コンデンサに 2.25V 分の電荷が溜まったあとも 2SA1015 のコレクタ電流がコンデンサに流れるので充電が続くよ
コンデンサの電圧が上がった分、今度はベース・エミッタ間の電圧 VBE が下がるよ 2SC1815 のベース・エミッタ間電圧 VBE が 0.4V くらいまで下がるとベース電流 IB がほぼ 0 になるので、トランジスタは OFF になるよ

2SC1815 が OFF になるとコレクタ-エミッタ間に電流が流れなくなり、2SA1015 のベース電流も流れなくなるので 2SA1015 も OFF になるよ


4. 2SC1815 トランジスタが OFF になった直後

2つのトランジスタが OFF の状態は「1. 電源をいれた直後」と似ているけど、今はコンデンサに 2.5V の電荷が溜まっているよ
コンデンサの両端の電圧と電源電圧の向きが同じなので、LED および抵抗には全部で 3V + 2.5V = 5.5V の電圧がかかるよ

100kΩ と 100Ωには 5.5V - 1.7V (電流値が小さいときの LED の順方向電圧)= 3.8V の分圧がそれぞれかかるよ

100kΩ の抵抗にかかる電圧は 100k / (100k + 100) x 3.8V = 3.796V
100Ω の抵抗にかかる電圧は 3.8V - 3.7962V = 0.0038V
回路に流れる電流は 3.796V / 100kΩ = 0.038mA
になるね このとき 2SC1815 のベース・エミッタ間電圧は 3V から 100kΩ の抵抗にかかる電圧を引いた値と同じになるので
VBE = 3V - 3.796V = - 0.796V
になるね
この電圧だとベース電流 IB は 0 だね

5. 2SC1815 トランジスタが OFF になって、コンデンサの放電が進んだとき

コンデンサに溜まっている電荷がじょじょに放電されるので、コンデンサの両端の電圧は下がっていくよ

コンデンサが放電されて、コンデンサの両端の電圧が 1.052V になったときを考えるよ

2つの抵抗にかかる電圧の合計は 3V + 1.052V - 1.7V = 2.352V だね
このとき 100kΩ の抵抗にかかる電圧は 100k / (100k + 100) x 2.352V = 2.35V
になるよ このとき 2SC1815 のベース・エミッタ間電圧は VBE = 3V - 2.35V = 0.65V になるね
この電圧でのベース電流は IB = 23.5μA = 0.0235mA だね つまり、コンデンサが放電されてベース・エミッタ間電圧 VBE が -0.796V から 0.65V まで上がるとトランジスタが ON になるよ

6. コンデンサの放電が進んだあとに 2SC1815 トランジスタが ON になった直後

ベース・エミッタ間電圧 VBE が 0.65V なので
コレクタ電流として IC = hFE x IB = 200 x 0.0235mA = 4.7mA
が流れて、2SA1015 も ON になるよ 2SA1015 が ON になったあとの動作は「3. 2SA1015 が ON の状態』と同じだよ
ただしコンデンサの充電が 0V → 2.25V だったのが、1.05V → 2.25V に変わるよ

点滅周期

LED が消えている間の時間は、コンデンサが 2.5V → 1.05V に放電されるまでにかかる時間、
LED が光っている間の時間は、コンデンサが 2.25V → 2.5V に充電されるまでにかかる時間だよ

抵抗値について

コンデンサの放電時( = LEDが消えている間)に 100kΩ の抵抗にかかる電圧および電流は、抵抗値を R とすると となるので、100kΩ の抵抗をより抵抗値の大きいものにすると、電流値が小さくなり LED が消えている時間が長くなるよ

また、100kΩ の抵抗をより抵抗値の大きいものにすると、抵抗に流れる電流と 2SC1815 のベース電流が釣り合うときのベース・エミッタ間電圧 VBE が小さくなるので、コンデンサの充電( = LED が光っている間)でにかかる時間が小さくなるよ

つまり、
100kΩ の抵抗を → より抵抗値の大きいものにする → 点滅周期が長くなる
100kΩ の抵抗を → より抵抗値の小さいものにする → 点滅周期が短くなる

ただし、抵抗値を小さくしすぎるとトランジスタが壊れるよ!

2SA1015 の最大絶対定格のベース電流 IB は -50mA だよ 2SC1815 のコレクタ電流が 2SA1015 のベース電流になるんだったね
2SC1815 の直流電流増幅率の最大値は 700 だから、
2SC1815 のコレクタ電流 IC ( = 2SA1015 のベース電流)が 50mA になるベース電流は IB
50mA / 700 = 0.071mA だよ

ベース電流が 0.071mA = 71μA のときのベース・エミッタ間電圧は約 0.68V だね これを満たす抵抗値は (3 - 0.68V) / 0.071mA = 33kΩ
なので、33kΩ より小さい抵抗値をつかうとトランジスタが壊れることがあるよ

余裕を持って 50kΩ 以上の抵抗を使おう

コンデンサの電気容量について

より電気容量の大きいコンデンサを使うと、充電・放電にかかる時間が長くなるので、点滅周期が長くなるよ

やってみよう

・100kΩ の抵抗を 50kΩ の抵抗に入れ替えてみよう
・コンデンサを 200μF や 470μF のものに入れ替えてみよう